針ノ木雪渓 マヤクボ沢、山スキー
2017年4月15〜16日     同行者:神戸山スキークラブ(:WY,NT,U&Bergen)
4月15日:出発 写真の内、*のあるものはリーダーのYHさんの提供を受けました。


20:40Bergen宅pick-up-中央道ー

神戸山スキークラブ例会の針ノ木の山スキーに出かけた。
当初は極めて素晴らしい天候であったが、漸次悪天の兆しが?

。今年はまれに見る豪雪で、積雪に恵まれたが雪崩の事故も多かった。
針ノ木沢にも大勢のスキーヤーや登山者が入山していたが、方々で雪崩跡の巨大なデブリの押し出し、集積が見られ、嫌な予感が感じられた。
残念ながらピークには到達できなかったが、滑降の途中で休憩していたら、ついさっき滑り降りた急斜面で雪崩発生!
下降時の9人の登山者が巻き込まれる雪崩事故が発生した!

4月16日:扇沢(幕営、仮眠)ー針ノ木谷…マヤクボ沢…台地ー針ノ木谷滑降

6:20 扇沢駐車場(700m)発
9:10 マヤクボ沢出合い
11:10 マヤクボのコル
11:20 針ノ木谷滑降
14:20 扇沢駐車場着


山頂には届かずであったが、天候に恵まれ極めて素敵な山行だった。
ただ、目近に、圧倒的な雪崩の滑走する威力を目のあたりにしたのは、大いなるカルチャーショックであった。
雪崩の危険は、もっと知って頂けないといかん!思いを新たにしました。

扇沢の駐車場は、有料駐車場のみが開いている。
安定した場所のほうが仮眠するのはいいので、駐車場内でテント設営する。いくばくも寝ないうちに起床時間!

周囲の山を見渡せば、積雪はきわめて多い!
扇沢駅駐車場の脇から、シール着けての登行が可能である。
「前回の経ヶ岳のような、長い歩きを予想していたので、ラッキーですね」

針の木沢の本流と言わず枝沢も、デブリだらけである。
それも信じられないほどの押し出しにより、切り刻まれた雪渓面に多数の雪面の層が見えておぞましい。

ことに南面(左岸)の谷という谷には、真新しい雪崩跡が確認でき、なんか嫌な予感がする。
扇沢の駅の裏から河川敷に、積雪は十分 谷の尾根の途中で休憩対岸(左岸)からの、雪崩の激しい押し出し!
やがて、傾斜が段々と急になってくる。
マヤクボ沢出会いに到着するが、ここからはさらに急傾斜となっていて樹木は1本もない。
「皆さん不安もなさそうに登っておられますが、本当に大丈夫なのでしょうかね?」
皆さん揃ったので谷中で記念撮影 先行するトレースを辿ってデブリ帯を進む、傾斜も急になってきた。
シール登行時には(雪崩の不安!)あまり感じなかった。
むしろ、下りのこの急傾斜の滑り方に不安を覚えた?!
「えっ、えらい急傾斜やありませんか?!」
Bergenが来た方(後ろ)を振り、返り思わず叫ぶとNTさんが混ぜ返す。
「今頃、何言ってますねん!」

今更、中途半端なところで終われない。
急傾斜を先行者のトレースをたどる。
やがて、急斜面を登り切った台地上で、Bergenは待機休憩する。
「何や!?神の思し召しでここで待っとれとのお申しです」
(ほんまかいな!?)
他の皆さんは、シールとクトーを併用して、コルまで登り切った由。
先行する登山ツアーの一行、歩みが極端に遅い?! 返り見ると後立の峰々(爺が岳、スバリ岳)が光る
快晴だった天候も、風が強くなり、ピーク登頂は中止。
Bergenの待機場所まで滑降。
斜度は急だが、柔らかい積雪でターンしやすかった由。
台地からはHも合流して、(気合を入れて!!)滑降して行く。
と言っても、なかなかの悪雪と急傾斜、苦労しました。
(取り合えず、「安全に下ること、ケガをしないこと」第一主義で)下ります。

ようやく緩傾斜になった、針ノ木谷の出合付近で一服していると、我々の滑降してきた急斜面で雪崩発生!
「あっ、我々に先行して登っていた9人パーティですね!?皆さん、巻き込まれて流されていますよ!」

こんなとこまで流れて来る筈は無いと思いのほか、我々のかなり下までデブリが到着。
雪崩の停止を確認ののち、埋没者を救助し全員の無事を確認できたのは幸いであった。
「これは決して他人事ではありませんよ!
時間が早ければ、我々が巻き込まれていたのですから」


まさしく、不幸中の幸いだった。
大いに反省です。
最後はかなりの急傾斜だ 漸く降りて来ました。雪崩がここまで押し出してきました。
雪崩発生状況(WYさんの報告を改変) これは、雪崩を確認した人の報告です。
雪崩に巻き込まれたのは(ガイド2名に引率された)総勢9名の登山パーティーだった。マヤクボ沢の急斜面を下山中に、足元からた崩壊した表層雪崩に、全てのメンバーが巻きこまれた。

我々パーティーが扇沢から針ノ木沢を見上げた時、密集して雪渓を登っている、結構大勢な(登山であろ)うパーティーが見えた。
登ってゆくに従い間隔が短縮し、マヤクボ沢出合で前後した。
基礎行動の確認だろうか?ゆっくりと、しかも密着して行動していた。

我々が滑降して休憩中であった!
雪崩の発生と登山者の遭難を目撃!
例の登山隊であった。
(山頂の登頂は諦め、途中で引き返してきたのか?)
マヤクボコルの急斜面を、密着してトラバース気味に下降していた。

その途端、足元から表層雪崩が発生したのか?
デブリとともに大勢が流され、(速度は非常にゆっくりであったが)
周囲の雪壁も除雪のブルドーザーが抉り取ったかの如く削られている。我々の目の前を、デブリの上で動かれぬまま、登山者4名も流されていた。

幸い、雪崩表面に埋没者が確認できたので、2人で急ぎ駆けつける。
WYさんのところには、4名が折り重なるように埋没しており、掘り起こしに時間がかかったが、パーティ全員の無事を確認できた。
2017.04.16扇沢?針ノ木岳(撤退)
1.山域 後立山
2.行動記録
 07:29扇沢(1430)?12:04~08雪崩(2400付近)?14:36扇沢(1430)
3.報告
 扇沢を出てすぐ右岸に渡りワカンを着けた。
雪は去年より多く、最初の堰堤の後のデブリは大きかった。
青空で風はなく大沢小屋まで右岸を歩いた。
きれいな雪面を期待していたが全体的にデブリで荒れていて蓮華大沢からもデブリが出ていた。

2000mのノド位から日が陰り南風が吹き、ネックゲーターとオーバー手袋を着けた。
2250mからマヤクボ沢に入ると単独がスバリ岳寄りをシール登行しているのが見えた。
自分は2540mの斜度が緩む所を目指して中央左俣寄りに居て、針ノ木の上を雲が早いスピードで流れていた。

昼過ぎにマヤクボ沢右俣に雪煙が見え、反射的に身体が針ノ木峠寄りに動いた。
この場所は2400~2450付近で、シール登行していた単独はスバリ岳寄りに逃れ、下からも雪崩を知らせる叫び声が聞こえた。
雪崩は4分以上続き9人が呑まれうち3人が埋まった。止まった場所は2300~2350m付近で別パーティが止まるまで見ていてくれたので自分が降りた時にはほぼ掘り出され全員無事だった。

ここから山頂までは行けそうだが、もう一発雪崩がありそうだし、ドローンには厳しい風なので降りた。
4.感想
?マヤクボ沢出合から上は風に磨かれた雪に新雪が載る状況で10cm下に弱層があり、面発生表層雪崩が起きた。
?今までも何度かここで雪崩を見たことがあるが、今回が一番規模が大きかった。
今までの発生原因はマヤクボ沢右俣上部でスキーをしていて、そのまま滑降者が巻き込まれるパターン。
?動画を上げるのはためらわれたが、雪崩に対する啓発効果を考慮して上げた。
発生時別パーティが人数確認と目視をしてくれたので動画を撮れた。
(山田 亘さんのブログから)
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