2011夏山山行報告
真川シンノ谷&黒部川赤木沢遡行の旅
2011年8/12〜16 (真川シンノ谷〜黒部五郎岳〜赤木沢〜太郎平)      同行者:ST,NO,NC,KK,MS&Bergen
記録
 
今回は、何と!久し振りの北アルプスの沢登りです。
最近、我が淀屋橋労山も、参加メンバーの減少のため、山行機会が減っております。今回は金木戸川から真川支流の遡行を経て、因縁の赤木沢に再挑戦です。

北ノ俣岳山頂にて
8月12日(金):
21:20 大阪駅桜橋口集合・・ー阪神高速ー名神ー北陸道「立山IC」ーゲ-ト手前の駐車場でテント設営(仮眠)
8月13日(土):「真川支流シンノ谷」遡行

7:30折立 出発ー8:00入渓1:00シンノ谷出合…17:00テント場(幕営)

さて、いよいよ待ちに待った北アルプス黒部川支流の美渓、赤木沢の遡行です。ここは、以前に途中で断念した、曰く付きの谷でした。
黒部源流の下降中に、転倒して小指の開放性脱臼を起こしたメンバーがいて、止む無く五郎沢を引き返したのでした。

今回は、その前の登路として真川支流のシンノ谷の遡行を計画しましたが、
予想以上の谷の崩壊に言葉も出ませんでした。
今日はやや曇り気味の天候ですが、雨などの不安は無いようです。
さて、赤木沢の首尾は如何でしたでしょうか?

昨夜は、亀谷温泉の駐車場で幕営した。
起きるとすぐに急いでゲ-トに並ぶが、既に長蛇の列の車である。 6:00にゲ-トが開く。

舗装された立派な林道を進む。
昔来たときは地道だった印象があった。
年数のなせるわざか?あるいは自家用車も入れるようになったための整備か?何れにせよ立派になった。

予想通り、折立の駐車場は満車で、路肩に駐車する。
路肩に駐車
  最初から沢登りスタイルで出発する。
林道をしばらく進むと、すぐに河原に降りる。
ほとんど傾斜のない、ガラガラの河原を進むが、
歩きにくいこと夥しい。
支流に入れば美しい沢になるだろうと期待して進む。
しかし、それにしては水が非常に濁っているのが気にかかる!?
「なぜ? 」
出発準備完了
漸くハゲ谷出会いに到着である。 
美しい谷のはずだが、荒れて泥水の谷と化しているではないか!
「この前の豪雨で崩れてるのではないか?
赤木沢はどうなんでしょうか?」
不安が過ります。
 
ゴウロの河原を進む
薬師谷を過ぎ、シンノ谷出合で昼食を摂る。
なんと!素麺でランチ!
「こんなにゆっくりしていて大丈夫?」

BergenもKKさんも竿を出すが、
Bergenは不調。
しかし、KKさんが枝沢で岩魚を一尾釣り上げた。
出合いで休憩、釣りと素麺

それにしても荒れた沢だ。
進めども,標高は上がらない。
そのうちに漸くゴウロが切れて、美しい渓相を呈してきた。
同時に、傾斜も急になり、急激に高度を上げる。
やがて、はっきりした滝に到着。

「この辺りは(今までの所と比べると)ほっとしますね]
漸く滝らしき滝が出現した
時間も迫って来ました。
そろそろ幕営地点を決めねばなりません。

「16時過ぎまで頑張りますか?!」
途中で、これは最高だと思われる幕営地あり。
しかし明日の日程を考えると、もう少し先に行っておきたい。この沢の中は、我々だけのパーティーだけだ。

少し高台に適地を見つけて整地し、草を敷く
テントを設営し、河原で焚き火
NCさんが不調を訴える。
月が煌々と照り、明日の好天を約束している。
幕営地点で
8月14日():黒部五郎岳へ

3:30起床5:40出発ー7:50稜線、登山道…8:35北ノ俣岳…9:25赤木岳…12:00黒部五郎岳(肩)…14:45黒部五郎テント場(幕営)19:00就寝

さて、今日は沢を登りつめ、長い縦走路の歩きがあります。
沢も歩きやすくなってきているので、もうひと頑張りです。
今日も快晴で絶好の山登り日和です。
起床後、例によって湯を沸かし、コーヒーを頂く。
朝食は雑炊である。
昨日の残りのごはんである。

出発してテント適地を探すが、昨日の場所以外には見当たらず。
「昨日の判断は正しかった!」

沢は概ね源流地帯で、出てくる滝も大きいものはなく、
容易に直登出来る。
最後は残雪の雪渓の残るガラ場であった。
喘ぎ喘ぎ登る。
沢の源頭を進む
靴を履き替え、これからは縦走路である。
「やはり歩きやすいですね」
振り返ると、薬師岳の雄姿が素晴らしい。

5月の山スキーで登り、滑り降りた快感が思い出される。
それにしても長い時間がたったものだ。
最初に登ったのは、大学2年の時だから、もう40年以上になる。
縦走路までハイマツ林を進む、遠景は薬師岳
北ノ俣岳(2,661m)山頂からは、槍ヶ岳・乗鞍岳・御岳など、360度の展望が素晴らしい
赤木岳(2,622m)、乗越でも360度の展望で、薬師岳・針ノ木が見える

黒部五郎の肩から、未登頂の3人がピークを踏みに行く。
「それにしても素晴らしい天気ですね♪♪」
あとは下るのみです。
カールの底の遠くに、黒部五郎小屋が小さく見えます。
尾瀬の燧ケ岳
カールの底の、上り下りの連続する長い下り坂を辿ると、
漸く黒部五郎小屋に到着です。
「結構長かったですね」

遅れて到着したMSさんが足首を捻挫した由。
テーピング材料を小屋で貰い、Bergenが処置しましたが、
痛そうです。あの悪夢(開放性脱臼で無念の撤退!)が頭をよぎります。 
「まあ、明日の足の状態次第ですね!」
巨岩の尾根
テント場は一杯ですが、隙間を探して何とか張り上げます。
傾斜地ですけど、入ると快適そのものです。

ゆっくりと宴会です。
やがて早めの夕食。 
「♪狭いながらも楽しい我が家♪」 

ですか?
    
ゴウロの河原を進む
8月15日(月):「赤木沢」遡行〜薬師平へ

3:00起床5:00出発ー5:15五郎沢…6:45黒部川源流…6:30赤木沢出合…10:40大滝(高巻き)…13:30登山道…17:00太郎平小屋…18:00テント場(幕営)20:15就寝

さて、日程も迫ってきました。メンバーの疲労も予想外でした。
最後まで遡行するのが目的でしたが、ここは残念ながらショートカットです。
今日も快晴で絶好の沢登り日和ですが、現実的な対応をします。
「昨日の雨と異なり、今日は快適な沢日和です。増水もそれほどでないので安心です]

今日は長坦場である。
未明3時に起床したが、月も出て明るいです。

MSさんの足もテーピングと鎮痛剤で何とかなりそう。
予定通り赤木沢に向かう。
五郎沢出会には2張りのテントが!
黒部本流は昔ながらの美しい沢で、方々に魚影が見える。 
(昨日、此処まで下って釣りをしたかったが...)

赤木沢出合いは、この世のものとも思えない、美しい大きな淵になっている。ここを腰まで水に浸かって渡る。
巨石の続く、五郎沢の下り
最初のナメを過ぎると、大きな連続する滝が出現した。
先行する単独行者は、両生類?
いきなり滝壺に飛び込み、対岸まで泳がれます。
「うーむ、下手に高巻きするよりあの方が安全だが!」
一種のカルチャーショックです。

この沢は恋ノ岐川と同様に分岐が少なく、現在位置の確認は高度がすべてです。
かなりのスケールの滝を登ると、平流気味になってまた滝が連続する。素晴らしい滝が続きます。
「感動は人生を大きくしますね!」
何かの宣伝にありましたね。
滝にはすべて巻き道あり
此処からも素敵な沢が展開します。
 
「青空が美しいですね!」
水は美しく、岩は白く、緑の自然林が花を添えます。

連続する滝ですが、難場と言うほどでもも無いので、ゆったりと沢を遡行します。
美しい滝が続く
そのうちに谷が右に回り込んだ先に、この谷一の大滝が出現。高さは40m、堂々たる大滝です。
右の壁に高巻き道がありそうです。

しっかりした踏み跡ですが、途中で右に曲がって樹林帯に入ります。当初、まっすぐ登りかけました。
安全のため、ロープを出しましたが、なかなか立派な巻き道でした。

「皆さん、気をつけて登ってくださいよ!」
40mの大滝
大滝を過ぎると源流の風情と思いきや、またまた連瀑帯が続きます。いささか応接に忙しい思いです。
まあ、そうは言っても、気楽に越して行ける滝ばかりなので、気分は楽です。
「稜線は13時頃に着けるやろうか?」
気楽な言葉が交わされます。

両岸の高さも次第に減じてきます。
大滝後の最初の枝沢が右から入ってきます。
次第に川幅が細まる
最初はあんなにこの渓の美しさに感動しましたが、
おしまいには、これでもかこれでもか!と繰り出してくる、
連瀑に些か食傷気味である。
「天気が良いから好きなことを言っているが、贅沢が過ぎませんか!」と、諭されているような気分にさせられる。

いよいよ流れも細くなり、見渡す両岸の草付きは一面の御花畑である。
誰が名付けたか、
「天国に至る御花畑」
言いえて妙である。
最後の詰めを進む
しかしそれから縦走路に出てからが、地獄だった。
最後の辛い草付き(滑る!滑る!)を登りつめ、縦走路に到着。遥か彼方に薬師と太郎小屋が見えます。

しかし、この尾根道も中々長い!
痩せ尾根の下りで大汗をかくのでした。
「まあ、山頂に届きませんでしたから、余計ですかね?」

北ノ俣岳を過ぎると、次第に雲行きが怪しくなってきた。
「これはまずいな。風もあるし体温を奪われますで。
雨具を出した方がよかろうヨ」
小雨の縦走路を進む
大変です、 NCさんが絶不調のようです。
行動食がのどを通らず、もどしてもいます。
シャリバテに低体温も悪さをしているようです。

保温と荷物の軽量化で対応します。幸いにも、天候も次第に回復し、NCさんも何とか事なきを得て(ほうほうの呈で)、太郎小屋に到着。

ここからは、テント設営の先発隊が先に進みました。
なかなか遠い!
ようやく到着したテント場は、大賑わいでした。
薬師平のキャンプ場に到着
8月16日():下山

4:00起床4:30朝食5:40出発ー6:00太郎小屋…7:40三角点…9:20折立登山口ー(亀谷温泉、入浴)-12:00出発ー17:00時帰阪

さて、今日は下るのみですが、メンバーの疲労も甚大でした。
でも、赤木沢の流れが美しかったので、大満足です。
その沢の遡行が目的でしたから、尚更です。
今日も快晴で絶好の下山日和です。
夜半2時頃雷鳴が轟いていたらしいが、今朝は止んでいて、青空である。淀屋橋恒例の下山日和であるが、今回は山中もおおむね晴れだった。 
テント場を出発し急坂を登ると、そこから太郎平小屋までは緩やかな下りだ。皆さん快調である。
五光岩ベンチ(2,189m)からは、対岸の壁が望まれる。
薬師岳の山頂はもう見えない。

急な下りになってくると、膝が悲鳴をあげ出した。
続々と登ってくるパ-ティとすれ違う。
漸く登山口に到着したら、ミンミン蝉が勢いよく鳴いていた。
漸く下山しました
全行程36.65km ・ 沿面距離37.22km ・ 累積標高(+2,775m −2,768m)平井デ-タ
inserted by FC2 system